第146回 日商簿記2級

第146回 日商簿記2級 出題予想

商業簿記

第2問
1. 個別論点(銀行勘定調整表)・理論問題
2. 個別論点(有価証券)
3. 個別論点(固定資産・リース会計)



第2問は、第1予想として、個別論点の銀行勘定調整表をあげました。
銀行勘定調整表は134回、137回に出題されています。
銀行勘定調整表は137回以来出題されていないこと、それから134回、137回ともに6月検定だったため、今回、第1予想としました。
銀行勘定調整表に作成を確認するとともに、3級の現金過不足についてもしっかり確認しておくようにしましょう。
また、3級で学習する当座借越を絡めて、貸借対照表の一部を作成するという問題も出題される可能性があります。
当座勘定の貸方残高もしくは当座預金出納帳の貸方残高のときは当座借越を意味し、その場合は、貸借対照表には流動負債の区分に「短期借入金」として表示します。
これまで、3級を含めて当座預金は1つだけの銀行が前提でした。しかし、実務的には複数の当座預金口座を持っております。
ですから、検定試験でもA銀行の当座預金残高と銀行残高を合わせるために銀行勘定調整表を作成し、B銀行は当座借越が発生するというような問題も考えられます。
その他には3級で学習する簿記上の現金について確認しておくとともに、現金過不足の処理についてもしっかり確認しておきましょう。
また、銀行勘定調整表と合わせて理論問題が出題されることも予想されます。
理論問題では語句問題や○×問題などが考えられます。
理論問題は今まで2級で出題されたことはありませんので、戸惑う受験生もいるかもしれませんが、テキスト等でしっかり基礎・基本が身に付いていれば、それほど難しくありません。
問題演習ばかり繰り返し行うだけではなく、テキスト等もしっかり読むなどして学習を進めるようにしましょう。



第2予想として個別論点の有価証券をあげました。
有価証券は141回に出題されています。141回以来、出題されていないため出題の可能性が高まっております。
社債の購入、売却の際の端数利息の計算、異なる単価の株式を取得したさいの平均原価法、満期保有目的債券の期末評価(償却原価法)、未収利息、株式を所有することによる受取配当金などの一連の取引から貸借対照表と損益計算書の一部の作成、決算整理後残高試算表の作成などの問題が予想されます。
昨年度からその他有価証券、子会社株式、関連会社株式が新たに出題範囲に追加されました。
それらについてもしっかり確認しておきましょう。
なお、以下の事項についてもテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
・満期保有で保有する社債で、貸借対照表日より1年以内に償還日が到来する社債は有価証券として表示
・満期保有で保有する社債で、貸借対照表日より1年を超えて償還日が到来する社債は投資有価証券として表示
・売買目的有価証券で前期末に時価評価したあとに売却した場合、洗替法、切放法の場合の有価証券の帳簿価額の金額
・その他有価証券で前期末に時価評価した場合の当期末の帳簿価額
・有価証券運用損益とは?
・子会社株式、関連会社株式になるときはどういうときか?
・決算整理前残高試算表の有価証券利息はどういう過程でその数字になっているのか?
・その他有価証券評価差額金、有価証券評価損益、有価証券売却損益は純額主義で表示される

以上の事項についてはテキスト等で必ず確認しておきましょう。




第3予想として個別論点の固定資産が出題されました。
個別論点の固定資産は107回、135回、139回、143回に出題されています。
昨年の6月検定に出題されているため出題される可能性は低いと思う方もいるかと思いますが、最近では直近に出題された論点が間をおかず出題されることがときどきあります。
したがって、以下の事項について確認しておきましょう。
固定資産の取得(建設仮勘定)、割賦購入(消費税を含む)、圧縮記帳、減価償却(月の途中で取得した場合も)、売却、除却、買い替え、火災、修繕など固定資産に関する仕訳をテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
特にこの6月検定から圧縮記帳が出題範囲に追加されました。圧縮記帳についてもテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
139回の第3問で、減価償却に関する問題で直接法から間接法にするという問題が出題されましたので、直接法で行っていた場合の取得原価の求め方を確認しておくとともに、減価償却累計額、取得日から取得原価を推定するという問題も合わせて一度解いておくとよいでしょう。
また、200%定率法の償却率の算出方法もしっかり確認しておくとともに、200%定率法において保証率、改定償却率が資料にある場合の減価償却費の求め方もしっかり確認しておきましょう。
また、この6月検定からリース会計が出題範囲に追加されました。
取得原価の算定方法、減価償却費の計算などについてもテキスト等でしっかり確認しておきましょう。

最後に個別論点が出題された場合、勘定記入が問われる場合があります。
これまで日商簿記検定試験では勘定記入が問われる場合、標準式が多かったのですが、141回では珍しく残高式の勘定口座が出題されました。
総勘定元帳の勘定記入は簿記を学習する上で基本中の基本になります。
標準式だけでなく残高式の勘定記入の練習も試験までに必ず一度はしておきましょう。
なお、勘定記入は3級の範囲になりますので、忘れている方は3級のテキストでしっかり確認しておきましょう。

また、140回の第2問では伝票が出題されました。
伝票の管理・集計は3級の範囲になったため出題の可能性は低いですが、もし出題された場合、しっかり対策を講じておけば、高得点を狙える問題です。ですから、万が一、伝票が出題されたら満点を取れるようしっかり対策を講じておきましょう。

それ以外にも第2問で本支店会計の出題の可能性もあります。
内部利益、未達取引が2級の出題範囲から削除されたため、出題の可能性が低くなりましたが、出題範囲になっているため、テキスト等で本支店合併財務諸表の作成、帳簿の締め切りなど基本問題だけもしっかり確認しておきましょう。
その他で考えられるのは商品有高帳の総平均法や先入先出法などから期末帳簿棚卸高(帳簿数量と原価)を求め、棚卸減耗損、商品評価損を求め、損益計算書を作成するという問題です。
商品有高帳と期末商品の評価はつながっているということをテキスト等でもう一度確認しておきましょう。
また退職給付引当金、修繕引当金、貸倒引当金や売上割戻引当金、返品調整引当金、商品保証引当金などの決算整理仕訳をおこない、貸借対照表、損益計算書の一部を作成するという問題なども考えられます。
また、そのとき注意するのが、営業債権に対しての貸倒引当金繰入は販売費及び一般管理費に表示され、貸付金に対しての貸倒引当金繰入は営業外費用に表示されます。
その他にも売上割戻引当金繰入、返品調整引当金繰入の表示区分にもしっかり確認しておきましょう。

第2問では、これまでの問題集に載っていないような問題が出題される可能性がありますが、それらの問題はしょせん基礎を寄せ集めたものです。
テキスト等でしっかり基礎・基本の徹底を図っておれば解けます。
問題演習を繰り返しおこなうことも大切ですが、なぜ、そのような仕訳になるのかしっかり意味を考えながら問題演習をおこなうようにしましょう。





第3問
1. 財務諸表(損益計算書の作成)
2. 財務諸表(貸借対照表の作成)
3. 決算整理後残高試算表の作成



第1予想として、財務諸表(損益計算書の作成)をあげました。
137回、140回、143回に損益計算書の作成が出題されております。
前回に貸借対照表の作成する問題が出題されているため、今回は損益計算書の作成問題を予想しました。
貸倒れの個別評価、返品調整引当金繰入と売上割戻引当金繰入の表示区分、ソフトウェアの償却(期中に除却した場合も)、減価償却費の見積計上額と確定額が違う場合、退職給付費用の見積額と確定額が違う場合、経過勘定(前払費用から費用への振替え、前払と未払の違い、前受と未収の違い)、役務収益と役務原価の計上、商標権、特許権など償却などについてはしっかり確認しておきましょう。
また、この6月検定から課税所得の算定、外貨換算会計が出題範囲に追加されました。
法人税を計算する際に税引前当期純利益から課税所得に修正し、法人税を計算させるという問題も予想されます。
外貨換算会計では外貨建ての資産と負債について決算日レートで換算替えするという問題の出題が予想されます。これら、6月検定から新しく出題範囲に追加される論点が早速、第3問に出題される可能性がありますので、テキスト等でしっかり確認しておきましょう。

また、その他にもサービス業の損益計算書の作成の問題を試験までに一度解いておきましょう。



第2予想として財務諸表(貸借対照表の作成)があげました。
138回、139回、142回、145回に貸借対照表の作成が出題されております。
前回に出題されているため、出題の可能性は低いかもしれませんが、過去に2回連続で出題されたこともありますので、試験までに1題は解いておきましょう。
有価証券の評価替え(売買目的、満期保有、その他有価証券)、銀行残高と帳簿残高の不一致事項、期末商品実地棚卸高、前受金の計上(例、検収基準を採用して場合に出荷した時点で現金売上している場合の訂正仕訳など)、1年基準での流動項目・固定項目の分類(貸付金・借入金・定期預金・前払費用)賞与引当金の追加計上、未払消費税・未払法人税の計上などについてテキスト、問題集等でしっかり確認しておきましょう



第3予想として、決算整理後残高試算表をあげました。
これまで、2級では決算整理後残高試算表の作成させる問題が出題されたことはあまりありませんので、少し戸惑う受験生の方もいるかもしれません。
しかし、これまでどおり決算整理仕訳をすること、3級で学習した残高試算表の作成をするだけです。
減価償却、貸倒れ、期末商品の評価、満期保有目的債券の償却原価法や未収利息の計上といった経過勘定など決算整理仕訳について、しっかり確認しておきましょう。
また昨年度から売上原価対立法が出題範囲に追加されました。
これまで仕入の行で行う場合は、「仕入・繰越商品・繰越商品・仕入」を決算整理仕訳でおこなっていましたが、売上原価対立法では商品評価損と棚卸減耗損のみの計上になります。
ですから、売上原価対立法について試験までに一度解いておきましょう。
その他、繰り延べで「毎年、支払っている(受け取っている)」という再振替仕訳をきちんと理解しているかを確認する問題が、最近2級でも出題されております。3級での頻出論点ですが、2級でも出題されておりますので、2級受験者も3級のテキスト、問題集等でしっかり確認しておきましょう。





第4問
1. 個別原価計算(仕訳)
2. 製造原価報告書・損益計算書の作成
3. 本社工場会計



第1予想として個別原価計算の仕訳をあげました。
個別原価計算は120回、127回、128回、132回、138回、143回と出題されております。
138回に個別原価計算の仕訳問題が出題されました。
出題者の意図で工業簿記の仕訳の重要性について説いていますが、仕訳問題が141回以来出題されていません。そのため、仕訳問題の出題の可能性が高まっています。
工業簿記の仕訳問題は基礎力が問われます。
ですから、材料の購入、消費、賃金の消費、製造間接費の配賦、製造間接費の差異分析、製品の完成(製品原価の計算)などの仕訳についてしっかりテキスト等で基礎・基本を確認しておきましょう。



第2予想として製造原価報告書・損益計算書の作成をあげました。
製造原価報告書は118回、121回、134回、137回に出題されております。
そのなかで注意をしたいのは個別原価計算との絡みです。個別原価計算は143回に出題されておりますが、118回では個別原価計算と製造原価報告書をミックスした問題が出題されました。
ですから、118回は試験までに一度解いておくとともに、127回、128回の問題で各自、製造原価報告書を作成してみるとよいでしょう。
勘定記入と財務諸表を関連付けて学習することが大切ですので、今一度テキスト等で確認しておくようにしましょう。
また、材料、賃金、経費の消費額の計算がしっかりできること、直接費と間接費の分類、さらに間接費は間接材料費、間接労務費、間接経費の費目別の分類などをできるようおきましょう。
また、製造原価報告書の製造間接費配賦差異の処理方法、損益計算書の原価差異の処理についても確認しておきましょう。



第3予想として、本社工場会計をあげました。
本社工場会計は112回、119回、131回、133回、141回に出題されております。
141回以来出題されていないこと、また工業簿記の仕訳問題が141回から出題されていないことなどから出題の可能性が高まっています。
本社、工場の仕訳の両方とも確認するとともに、製造間接費の差異分析も合わせてできるようにしておきましょう。





第5問
1. 総合原価計算(組別) 
2. 標準原価計算
3. 直接原価計算・CVP分析



第1予想として総合原価計算(組別)をあげました。
総合原価計算は128回に等級別、129回に組別、130回に単純、131回に工程別、137回に組別、138回に単純総合原価計算、140回に等級別総合原価計算、143回に工程別原価計算、144回に単純総合原価計算が出題されております。
総合原価計算は143回、144回と2回連続で出題されておりますが、第5問では一番出題率の高い論点ですので十分、対策を講じておく必要があります。
そのなかでも組別総合原価計算は129回から出題されておりませんので、試験までに一度解いておくようにしましょう。
その際、組間接費(製造間接費)の配賦計算はしっかり確認しておきましょう。
また、仕損・減損の計算方法もしっかり確認しておくとともに、「平均的に投入」、「工程の終点で投入」、「途中で投入(105回に出題)」、などの計算方法も試験までに一度確認しておきましょう。



第2予想として標準原価計算をあげました。
標準原価計算は116回、120回、126回、127回、135回、143回と出題されております。
また、140回と142回の第4問で標準原価計算が出題されました。
143回に出題されているため、出題の可能性は低いように思われますが、過去には直近に出題された論点が再び出題されたこともありますので、要注意です。
ですから、十分対策を講じておく必要があります。
従来、標準原価計算は差異分析を中心に出題されることが多かったのですが、126回では仕掛品勘定と損益計算書の作成、127回では原価標準、直接材料費等の総差異、標準消費量を求める問題が出題され、126回、127回は今までと少し違う出題内容の問題でした。
また、141回第4問で出題されたとき、これまでの出題と異なり仕訳問題で、なおかつシングルプランが出題され、143回第4問でも勘定記入ではなく仕訳問題が出題されました。
ですから、勘定記入だけでなく、仕訳も書くことのできるようにしっかり練習しておきましょう。
対策としてパターン学習に陥るのではなく、原価標準、勘定記入、差異分析等についてしっかり確認するとともに、パーシャルプラン、シングルプランの場合の勘定記入と仕訳もできるようにしておきましょう。



第3予想として、直接原価計算・CVP分析をあげました。
直接原価計算は124回、134回、136回、139回、141回、145回に出題されております。
前回に出題されたため、出題の可能性は低いかもしれませんが、過去に2回連続で同じ論点が出題されたことがあります。ですから、念のためテキスト、問題集等しっかり確認しておきましょう。
直接原価計算と全部原価計算の損益計算書の作成、直接原価計算と全部原価計算の営業利益が異なる理由、固定費調整などはテキスト等でしっかり確認しておくとともに、CVP分析では、基本である損益分岐点売上高(販売量)、目標利益を獲得するための売上高(販売量)や安全余裕率などについては確実にできるようにしておかなければなりません。また、単位当たりの販売価格、単位当たりの変動費や固定費の金額が資料より変更になるという問題も過去に出題されたことがありますので、そういった問題も試験までに一度は解いておくようにしましょう。
また、高低点法にて単位当たりの変動費と固定費に分解したあと、CVP分析させるという問題も予想されます。そういった問題の場合、最初の時点で計算間違いなどのケアレスミスをしてしまうと全滅という結果になりますので、本試験では必ず計算間違いしていないかどうか見直しをしながら次の問題に進むようにしましょう。