第142回 日商簿記2級

第142回 日商簿記2級 出題予想

商業簿記

第2問
1. 個別論点(固定資産)
2. 個別論点(株主資本等変動計算書)
3. 個別論点(銀行勘定調整表)


第2問は、第1予想として個別論点の固定資産をあげました。
個別論点の固定資産は107回、135回、139回に出題されています。
139回に出題されているため、まだ出題されないだろうと思う方もいるかもしれませんが、最近の検定試験では、それほど間隔をおかずに出題されることもありますので、十分対策を講じておく必要があります。
固定資産の取得(建設仮勘定)、減価償却、売却、除却、買い替え、火災、修繕など固定資産に関する仕訳をテキスト等でしっかり確認しておきましょう。
139回の第3問で、減価償却に関する問題で直接法から間接法にするという問題が出題されましたので、直接法で行っていた場合の取得原価の求め方を確認しておくとともに、減価償却累計額、取得日から取得原価を推定するという問題も合わせて一度解いておくとよいでしょう。
また、200%定率法の償却率の算出方法もしっかり確認しておくとともに、200%定率法において保証率、改定償却率についても現行の範囲になっておりますので、念のため確認しておきましょう。
固定資産が出題された場合、勘定記入が問われる場合があります。
前回、有価証券の個別論点が出題されたときも勘定記入が問われました。
これまで日商簿記検定試験では勘定記入が問われる場合、標準式が多かったのですが、前回は珍しく残高式の勘定口座が出題されました。
総勘定元帳の勘定記入は簿記を学習する上で基本中の基本になります。
標準式だけでなく残高式の勘定記入の練習も試験までに必ず一度はしておきましょう。
なお、勘定記入は3級の範囲になりますので、忘れている方は3級のテキストでしっかり確認しておきましょう。



第2予想として、個別論点の株主資本等変動計算書をあげました。
株主資本等変動計算書は138回に初めて2級に出題されました。1年前の11月検定(138回)に出題されたときは、初めて出題されるということで、解答用紙に「(  )」があり、解答しやすい問題でしたが、今回、再び出題される場合は、解答用紙に「(  )」がない場合も考えられますので、十分対策を講じておく必要があります。
株式の発行、合併、剰余金の配当などの仕訳、株主資本等変動計算書の記入はしっかり確認しておきましょう。
また、株主資本等変動計算書の当期末残高の金額が当期末の貸借対照表の金額になりますので、貸借対照表の一部を作成するという問題が出題された場合は当期末の金額をそのまま記入しましょう。
株主資本等変動計算書の形式は横形式だけでなく縦形式の場合もあります。
形式が変わっても前期末残高、当期変動額、当期末残高、資本金、資本剰余金、利益剰余金など記入方法は同じです。形式が違うからといって惑わされないようにしっかりテキスト等で基礎・基本の徹底を図るようにしましょう。

あと注意するのは、これまで2級で出題されてきた剰余金の配当は利益剰余金(繰越利益剰余金)を財源とした場合でした。しかし、その他資本剰余金を財源として配当することもでき、その場合も2級の範囲になっております。ですから、その他資本剰余金から配当した場合の問題も一度解いておきましょう。
ちなみに、その他資本剰余金から配当した場合は配当金の10分の1を資本準備金として積み立てます。



第3予想として、個別論点の銀行勘定調整表をあげました。
銀行勘定調整表は134回、137回に出題されています。
また、今回出題されるとするなら、3級で学習する当座借越を絡めて、貸借対照表の一部を作成するという問題も出題される可能性があります。
当座勘定の貸方残高もしくは当座預金出納帳の貸方残高のときは当座借越を意味し、その場合は、貸借対照表には流動負債の区分に「短期借入金」として表示します。
これまで、3級を含めて当座預金は1つだけの銀行が前提でした。しかし、実務的には複数の当座預金口座を持っております。
ですから、検定試験でもA銀行の当座預金残高と銀行残高を合わせるために銀行勘定調整表を作成し、B銀行は当座借越が発生するというような問題も考えられます。
その他には3級で学習する現金過不足などもしっかり確認しておきましょう。

また、前々回、第2問では伝票が出題されました。
前々回に出題されているため、今回の出題の可能性は高くないですが、伝票の場合、しっかり対策を講じておけば、高得点を狙える問題です。ですから、万が一、伝票が出題されたら満点を取れるようしっかり対策を講じておきましょう。

その他で考えられるのは商品有高帳の総平均法や先入先出法などから期末帳簿棚卸高(帳簿数量と原価)を求め、棚卸減耗損、商品評価損を求め、損益計算書を作成するという問題です。
商品有高帳と期末商品の評価はつながっているということをテキスト等でもう一度確認しておきましょう。
また商品売買に関する取引から手形関係を中心とする取引をおこない、貸倒引当金や売上割戻引当金、商品保証引当金などの決算整理仕訳をおこない、決算整理後残高試算表を作成するという問題なども考えられます。

第2問では、これまでの問題集に載っていないような問題が出題される可能性がありますが、それらの問題はしょせん基礎を寄せ集めたものです。
テキスト等でしっかり基礎・基本の徹底を図っておれば解けます。
問題演習を繰り返しおこなうことも大切ですが、なぜ、そのような仕訳になるのかしっかり意味を考えながら問題演習をおこなうようにしましょう。




第3問
1. 財務諸表(貸借対照表の作成)
2. 精算表
3. 三勘定(損益勘定、繰越利益剰余金勘定)



第1予想として、財務諸表の作成(貸借対照表の作成)をあげました。
137回、140回に損益計算書の作成が、138回、139回に貸借対照表の作成が出題されており、財務諸表を作成させるという問題の出題の頻度が上がっています。
また、その内容もこれまでの財務諸表の作成する問題と異なる部分もあるため、試験までに137回、138回、139回は一度確認しておきましょう。
そのなかで、減価償却の月割での見積計上、前払から月割での期間配分、期末商品の評価と棚卸減耗損と商品評価損の計算、見越し・繰り延べなど、136回より以前の内容と異なる部分が多々ありますので、試験までにそれらの事項については必ず確認しておきましょう。



第2予想として、精算表をあげました。
精算表は前回出題されているため、出題される可能性は低いと思う方もいるかもしれませんが、過去には2回連続で精算表が出題されたとこともありますので要注意です。
減価償却、貸倒れ、期末商品の評価、満期保有目的債券の償却原価法や未収利息の計上といった経過勘定など決算整理仕訳はしっかり確認しておきましょう。
そのとき、期末商品の評価で低価法の意味をしっかり確認するとともに、「仕入れの行」だけでなく、「売上原価の行」についても確認しておく必要があります。3級の試験で、この「売上原価の行で売上原価を計算する」という問題が立て続けに出題されましたので、2級受験者も「売上原価の行で売上原価を計算する」をしっかり確認しておく必要があります。
その他、繰り延べで「毎年、支払っている(受け取っている)」という再振替仕訳をきちんと理解しているかを確認する問題が、最近2級でも出題されております。3級での頻出論点ですが、2級でも出題されておりますので、2級受験者も3級のテキスト、問題集等でしっかり確認しておきましょう。



第3予想として、三勘定(損益勘定・繰越利益剰余金勘定)をあげました。
第116回より、会社法の適用によって、未処分利益勘定・繰越利益勘定がなくなり、繰越利益剰余金勘定になりましたが、出題は108回からされておりません。
前回、出題されてから長い間出題されておりませんし、また28年度からも引き続き2級の出題範囲になるため、少し要注意です。
ですから、必ず試験まで108回類題を解いておきましょう。
また、損益勘定・繰越利益剰余金勘定の作成の場合、株主総会のさいの剰余金の配当の仕訳をもう一度確認しておいてください。
損益勘定・繰越利益剰余金勘定作成の問題を解くとき、法人税等の税率が40%の場合、そして中間納付がある問題の場合も想定して問題を解くようにしておきましょう。
また99回、108回に出題されたとき、銀行残高、不一致の原因から一致する前の当座預金残高を推定するという問題が出題されておりますので、そういった推定問題も合わせて確認しておきましょう。




第4問
1. 個別原価計算(勘定記入)
2. 部門別原価計算
3. 製造原価報告書



第1予想として個別原価計算の勘定記入をあげました。
個別原価計算は120回、127回、128回、132回、138回と出題されております。
133回の第5問に個別原価計算(仕掛品勘定の作成)が出題されました。
138回に個別原価計算が出題されましたが、仕訳問題でした。
127回、128回は仕掛品勘定の作成でしたが、個別原価計算の仕掛品勘定、製品勘定の作成する問題は128回以来出題されていませんので要注意です。
ですから、試験までに127回、128回は一度解いておきましょう。



第2予想として部門別原価計算をあげました。
部門別原価計算は116回、123回、129回、130回、135回、139回と出題されております。
部門別原価計算は139回に出題されておりますが、最近では直近に出題された論点が間隔をおかずに出題されるということが頻出しております。
ですから、十分、対策を講じておく必要があります。
部門別原価計算は補助部門費の配賦(直接配賦法、相互配賦法)、差異分析、勘定記入が出題されます。
その中でも123回に出題された総括配賦率、部門別配賦率については、今回はしっかり確認しておく必要があります。
また、部門別原価計算は個別原価計算だけではなく、総合原価計算でも適用されます。その場合は加工費の部門別計算になります。部門別計算をからめた問題が130回に出題されておりますので、一度解いておきましょう。



第3予想として製造原価報告書をあげました。
製造原価報告書は118回、121回、134回、137回に出題されております。
137回に出題されているため、今回、出題される可能性はそれほど高くないように思われますが、最近ではそれほど間隔をおかずに出題されるときもありますので、十分対策を講じておく必要があります。
特に注意をしたいのは個別原価計算との絡みです。個別原価計算は127回、128回と出題されており、118回では個別原価計算と製造原価報告書をミックスした問題が出題されました。
ですから、118回は試験までに一度解いておくとともに、127回、128回の問題で各自、製造原価報告書を作成してみるとよいでしょう。
勘定記入と財務諸表を関連付けて学習することが大切ですので、今一度テキスト等で確認しておくようにしましょう。
また、材料、賃金、経費の消費額の計算がしっかりできること、直接費と間接費の分類、また、さらに間接費は間接材料費、間接労務費、間接経費の費目別の分類などをできるようおきましょう。
また、製造原価報告書の製造間接費配賦差異の処理方法についても確認しておきましょう。



第5問
1. 総合原価計算(工程別)
2. 標準原価計算
3. 直接原価計算



第1予想として総合原価計算をあげました。
総合原価計算は128回に等級別、129回に組別、130回に単純、131回に工程別、137回に組別、138回に単純総合原価計算、140回に等級別総合原価計算が出題されております。
総合原価計算は第5問では一番出題率の高い論点で、131回から出題されておりませんでしたが、137回に久しぶりに出題されて、138回も続けて出題され、そして140回でも等級別総合原価計算が出題されました。

前々回も出題されていますが、総合原価計算は工業簿記のなかで一番、出題率の高い論点ですので、十分、対策を講じておく必要があります。
そのなかでも工程別総合原価計算は試験までに一度解いておくようにしましょう。
また、仕損・減損の計算方法もしっかり確認しておくとともに、「平均的に投入」、「工程の終点で投入」、「途中で投入(105回に出題)」、などの計算方法も試験までに一度確認しておきましょう。



第2予想として標準原価計算をあげました。
標準原価計算は116回、120回、126回、127回、135回と出題されております。
また、前々回、初めて第4問で標準原価計算が出題されました。
前々回に出題されているため、出題の可能性は低いように思われますが、過去には2回前に出題された論点が再び出題されたこともありますので、要注意です。
ですから、十分対策を講じておく必要があります。
従来、標準原価計算は差異分析を中心に出題されることが多かったのですが、126回では仕掛品勘定と損益計算書の作成、127回では原価標準、直接材料費等の総差異、標準消費量を求める問題が出題され、126回、127回は今までと少し違う出題内容の問題でした。
また、前々回、第4問で出題されたとき、これまでの出題と異なり仕訳問題で、なおかつシングルプランが出題されました。
対策としてパターン学習に陥るのではなく、原価標準、勘定記入、差異分析等についてしっかり確認するとともに、パーシャルプラン、シングルプランの場合の勘定記入と仕訳もできるようにしておきましょう。



第3予想として直接原価計算あげました。
直接原価計算は124回、134回、136回、139回、141回に出題されております。
前回、出題されておりますが、最近の出題の頻度は高いですので、要注意です。
したがって、直接原価計算と全部原価計算の損益計算書の作成、直接原価計算と全部原価計算の営業利益が異なる理由、固定費調整などはテキスト等でしっかり確認しておくとともに、CVUP分析では、基本である損益分岐点売上高(販売量)、目標利益を獲得するための売上高(販売量)や安全余裕率などについては確実にできるようにしておかなければなりません。また、単位当たりの販売価格、単位当たりの変動費や固定費の金額が資料より変更になるという問題も過去に出題されたことがありますので、そういった問題も試験までに一度は解いておくようにしましょう。
また、高低点法にて単位当たりの変動費と固定費に分解したあと、CVP分析させるという問題も予想されます。そういった問題の場合、最初の時点で計算間違いなどのケアレスミスをしてしまうと全滅という結果になりますので、本試験では必ず計算間違いしていないかどうか見直しをしながら次の問題に進むようにしましょう。